前東京都議会議員 両角みのる
2015年6月17日

新国立競技場について物申す!

◯副議長(藤井一君) 五十一番両角みのる君。
   〔五十一番両角みのる君登壇〕

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◯五十一番(両角みのる君) 初めに、新国立競技場について伺います。
 去る五月十八日の下村文科大臣から舛添都知事への整備費一部負担要請以降、新国立競技場をめぐる知事と文科大臣との不協和音が伝えられています。
 都民とすれば、国立施設の整備に根拠不明確な費用負担をすることは納得がいかない一方で、オリンピック・パラリンピック開催までにメーンスタジアムとなる競技場がきちんとでき上がるのだろうかという不安を感ぜずにはいられません。
 この件に関しては、事実関係の確認が肝要です。これまで知事は、記者会見等で都の費用負担は初耳であり、聞いていないとの発言をされています。
 ところで、平成二十五年十二月十一日の都議会オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会の席上、秋山副知事は、都の費用負担につき、次のように答弁しています。新競技場本体工事千四百八十億、周辺整備三百七十二億円ということで、負担につきましては周辺整備を中心に負担を求めてきたと、負担の要求があったというふうに理解しております。
 ここでは、国からの負担要請の認識があったと発言されているのですが、東京都は、新国立競技場整備への費用負担要請が文科省からあったと、組織として認識していると理解してよろしいか、見解をお聞きします。
 一方、平成二十五年十二月二十四日の記者会見で下村大臣は、東京都については、都議会と私の方で直接話しました、一応、五百億円は東京都の方で出すということで、内々には了解をもらって準備を進めておりますと発言をしています。
 私はこのことに大変に驚き、過去の本会議、所管委員会等の議事録を調べましたが、どこにもそうした決定がなされたとの報告は確認できませんでした。
 そもそも、東京都予算を外部機関に支出することを都議会単独で了解し得るはずもありません。この大臣発言に対する知事の所見を伺います。
 あわせて、今後、新国立競技場に関して、文科省、JSCとどのように協議を進めていくつもりか、知事のご決意を伺います。
 次に、豊洲新市場の場外施設について伺います。
 豊洲新市場は、紆余曲折を経ながらも、関係者のご努力により、来年十一月上旬の開場時期が正式決定されました。
 しかしながら、新市場オープンと同時に開場予定であった千客万来施設は、事業予定者の大和ハウス工業と株式会社喜代村が次々に参加を辞退し、新市場開場と同時に場外施設がにぎわいを創出することは不可能となりました。
 都は、大和ハウス工業撤退後、喜代村単独での事業継続を容認し傷を広げるなど、結果として貴重な時間を一年以上無駄にし、事業を再度仕切り直しせざるを得なかったことを真摯に受けとめるべきです。
 事業者撤退を受けての再公募方針では、事業期間を前回の三十年から最長五十年までに延長、対象敷地を六街区のみとする、開業時期は新市場オープン後としています。
 そこで伺いますが、対象地区から、これまでの五街区を外した理由並びにそのことで事業目的達成に支障が出ないのかお聞きします。
 また、従前に整備予定地とされていた五街区の今後の活用方針をお尋ねします。
 再公募要項では、来年三月の事業予定者決定スケジュールが示されていますが、現実的に最短どのくらいの時期に千客万来施設をオープンできると考えているのか伺います。
 次に、都立高校での主権者教育について伺います。
 本日、国会で選挙権年齢を二十歳以上から十八歳以上に引き下げる公職選挙法改正案が可決、成立しました。これにより、来年夏の参院選は十八歳、十九歳の若者が投票可能となり、現役高校生が投票所に足を運ぶことになります。
 法改正の趣旨は、若い世代の政治参加を進め投票率向上につなげることですが、そのためには、政治への参加意識を高めるような学校教育の場での、特に高等学校での主権者教育が重要です。
 そこで、都教委は今般の法改正を踏まえて、今後どのように都立高校における主権者教育に取り組んでいくつもりか、教育長の所見を伺います。
 次に、日本語指導の充実について伺います。
 都は、日本語能力が不十分な児童生徒への市区町村の対応をさまざまな形で支援しています。例えば、都内には、都の要綱により、小中二十九校の日本語学級が設置、運営されており、こうした子供たちの大きな支えとなっています。
 私も日本語学級を見学させていただきましたが、先生方がさまざまな母語を持つ生徒に対し専門外の科目までを教えており、個々の教師が試行錯誤で取り組んでいるように感じました。
 外国人や日本語を母語としない児童生徒が相当数存在する状況では、学校現場の声を踏まえ、教授方法や関連情報の提供を進め、より実践的な研修を実施して日本語指導を一層充実していくことが必要と考えますが、都教委の取り組みを伺います。
 次に、多摩地域への在京外国人生徒対象枠募集校設置について伺います。
 現在、在京外国人生徒対象枠を持つ都立高校は、国際高校、飛鳥高校、田柄高校と全て区部であり、多摩地域からのアクセスが必ずしもよくない場所にあります。日本語学級に通う生徒等の多くが高校進学を希望する中、これら多摩地域の中学生は、実質、在京外国人生徒対象枠の利用ができない状況が生じています。
 そこで、多摩の各地からアクセスのよい場所に、こうした枠を有する高校を設置すべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、多摩地域の公共交通について伺います。
 我が国は人口減局面に入り、多摩地域も二〇一五年から人口が減少に転ずると予想されています。人口減は空き家の増加や公共交通網の維持等々にさまざま影響を及ぼします。
 本年三月の青梅線、五日市線のダイヤ改正では、JR移行後、都下で初ともいわれる運行本数削減が実施され、地元の方々は不便を強いられています。今後、こうした動きはさらに広がってくるものと思われ、鉄道会社の経営と公共の足の確保という観点から、広域行政体としての都の役割が問われることとなります。
 ところで、私の地元である八王子みなみ野地区は、まち開きから十五年以上を経て、都内でも人気の住宅街として成熟化してきており、現在二万五千人近くの住民が暮らしています。地域唯一の鉄道網が横浜線で、最寄り駅は八王子みなみ野駅です。
 現在、横浜線の東神奈川発八王子行き、平日の最終は二十三時三十二分で、これを乗り過ごすと橋本どまりの電車となり、都民であるみなみ野住民は、神奈川県の橋本駅からタクシー等で帰宅せざるを得ない状況です。私は、隣の橋本駅どまりの終電まで二本の電車を八王子行きとすれば、地域住民の利便性は高まり、コストをかけずに地域価値向上が可能と考えます。
 青梅線、五日市線、横浜線を例に挙げましたが、地域の公共の足確保や利便性向上に都の果たす役割は大きいと思います。
 そこで、多摩地域における鉄道輸送サービス向上に関する所見を伺います。
 最後に、多摩都市モノレールについて伺います。
 本年三月、都は、広域交通ネットワーク計画について中間まとめを公表しました。
 ところが、ここで示された整備効果が高いことが見込まれる五路線の中に、多摩センター─八王子間の多摩都市モノレール延伸は含まれていませんでした。
 そこで、この区間の中間まとめについて都の考えを伺い、質問を終わります。
   〔知事舛添要一君登壇〕

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◯知事(舛添要一君) 両角みのる議員の一般質問にお答えいたします。
 新国立競技場整備の都負担に関する文科大臣の発言についてでございますが、文科大臣が平成二十五年十二月二十四日の記者会見で都負担について発言したことは、報道で承知しているだけでございます。
 続きまして、新国立競技場の整備費用に関する都負担についてでございますが、今般、文科大臣から新国立競技場の整備費用について負担の要請がございました。
 その際、不明であった工期や総工事費、都民が納得する都負担の根拠など、全体像を明らかにするよう、現在、国に対して求めておりまして、今後、その情報を踏まえて検討してまいります。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

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◯教育長(中井敬三君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校での主権者教育の取り組みについてでありますが、現在、各都立高校では、公民科の現代社会や政治経済の授業で、議会制度や選挙制度の仕組みなど国民主権の考え方や主権者としての政治参加のあり方について学んでおります。
 また、都や区市の選挙管理委員会事務局や未成年者への主権者教育を推進するNPO団体と連携して、模擬選挙等の体験学習を実施している学校もございます。
 今後、都教育委員会は、こうしたすぐれた実践事例を各都立高校に周知するとともに、国の動向を踏まえ、政治や選挙への関心を高め、積極的に社会に参画する人材の育成に向け、都立高校における主権者教育の充実を図ってまいります。
 次に、日本語指導の一層の充実についてでありますが、都教育委員会は、日本語指導が必要な児童生徒が日本語を学ぶためのテキストである「たのしいがっこう」や教員が指導する上で参考となる日本語指導ハンドブックを配布するとともに、ホームページに掲載するなどして、各学校が活用できるようにしております。
 また、日本語指導が必要な児童生徒が、基本的な日常会話に加え、学習活動に必要な日本語を身につけることができるよう、教科指導に関する教員研修を年間四回実施しております。
 今後とも、都教育委員会は区市町村教育委員会と連携し、小中学校における日本語指導の課題等を把握するとともに、すぐれた指導事例に関する情報の提供や研修の充実など、教員の指導力を高める取り組みを推進してまいります。
 最後に、都立高校の在京外国人生徒募集枠についてでありますが、東京のグローバル化の進展に伴い、都内居住の外国人生徒が近年増加していることから、これらの生徒に対し、高等学校教育の機会の提供など、教育環境を整備していくことが必要であります。
 このため、都教育委員会は、平成二十六年度は国際高校、飛鳥高校及び田柄高校の三校で六十五名の募集枠を設け、平成二十五年度と比べ定員を十名ふやして入学者選抜を実施したところでございます。
 今後とも、都内の中学校における日本語指導が必要な在京外国人生徒数の動向、募集枠を設置する三校の入学者選抜の応募状況、応募生徒の居住地の状況等を総合的に勘案し、引き続き、募集枠のあり方について検討を進めてまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

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◯オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 新国立競技場整備の費用負担要請についてでございますが、平成二十五年十二月十一日のオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会におきまして、同年十一月六日に文部科学大臣から当時の猪瀬前知事に対しまして、新国立競技場の整備に関し、都に一部負担してもらいたいとの要請があったと副知事から答弁しております。
 しかしながら、その後、費用負担の話につきまして、要請を公文書で受理したことはございません。
 なお、舛添知事が文部科学大臣から正式に要請を受けましたのは、この五月十八日の面会が初めてでございます。
   〔中央卸売市場長岸本良一君登壇〕

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◯中央卸売市場長(岸本良一君) 豊洲新市場の千客万来施設事業に関する四点の質問にお答えします。
 まず、千客万来施設事業の対象地区から五街区を外した理由についてでありますが、千客万来施設は豊洲新市場にとって必要な施設であり、着実に整備することが重要でございます。
 そのため、再公募に当たり、事業者が開発しやすい環境をつくる観点から、前回公募時の五街区、六街区一体開発という条件を緩和し、六街区を先行募集とすることとしたものでございます。
 次に、五街区を外すことによる事業目的達成への支障についてでありますが、六街区を先行募集することで着実に千客万来施設を整備し、市場本体施設と連携を図り、事業目的である豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出してまいります。
 次に、五街区の今後の活用方針についてでありますが、従前、整備予定地とされておりました五街区につきましては、今回先行公募する六街区の状況を勘案しながら、改めて公募条件を検討し、別途再公募を行っていく予定でございます。
 最後に、千客万来施設のオープン時期についてでありますが、千客万来施設は、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出す、豊洲新市場にとって必要な施設であることから、できるだけ速やかに開業させていくことが重要であると認識しております。
 そのため、今回の再公募に当たりましては、施設を早期に開業させる事業者提案が優位となる審査基準を検討しており、民間事業者の創意工夫を引き出し、しっかりとした施設を早期に開業できるよう取り組んでまいります。
   〔都市整備局長安井順一君登壇〕

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◯都市整備局長(安井順一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、多摩地域の公共交通についてでございますが、地域の活力を維持増進させていく上で、鉄道を含めた公共交通は重要でございます。
 お話にございましたダイヤ設定などの輸送サービスの向上につきましては、鉄道事業者の経営と密接にかかわることから、原則として鉄道事業者が対応すべきものであると認識してございます。
 都は、今後とも、人口や土地利用の動向などの社会的条件を踏まえまして、市町村とも連携しながら、公共交通の利便性の向上に努めてまいります。
 次に、多摩都市モノレールの八王子方面への延伸についてでございますが、都は、今後の東京圏の鉄道ネットワークにつきまして、利便性の向上や都市活力の維持向上など、四つの政策目標のもとに、混雑率の低下や移動時間の短縮などの指標を設定した上で、事業性も含めて整備効果を検討してまいりました。
 お話の延伸区間につきましては、三月に公表いたしました中間まとめにおきまして、整備効果が見込まれる路線としているものの、多額の事業費や計画ルートが既存の鉄道路線と競合し、需要の確保などの課題がございます。
 引き続き、他の路線も含めて整備効果等について検討を深め、来月、都の考え方を明らかにし、国の審議会答申に反映させるよう働きかけてまいります。
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