前東京都議会議員 両角みのる
2016年5月16日

不登校対策、インバウンド政策、上野「文化の杜」、水の都東京復活、オリ・パラ運営費、リオ大会都知事アピールに切り込む!

◯五十一番(両角みのる君) 初めに、不登校対策について伺います。
 文科省の調査によれば、二〇一四年度の全国の小中学校の不登校児童生徒数は十二万二千八百九十七人と高どまり状態にあり、都内では一万七十九人と、二〇一三年度から二年連続で増加しています。
 こうした子供たちが少なくなるように、また不登校の子供たちが希望を持って将来に向け歩んでいけるようにしていくのは、私たちの大きな責務でもあります。
 そこで、まず、都内の不登校問題に関する都教委の認識を伺います。
 近年、不登校児童生徒の居場所として注目をされているのがフリースクールです。文科省が検討会を開き、国会では超党派の議員連盟が法制化の検討を進めています。
 先日、北区にあるフリースクール、東京シューレを訪れ、代表の奥地さんから話を伺いました。教育長もこちらを訪ねられたとのことですが、不登校となった子供たちが徐々に自信を取り戻し、それぞれの新たな目標に進んでいく姿に感銘を受けました。
 しかし、フリースクールといっても形態、実態は実にさまざまです。国は昨年、初めてその実態調査を行いましたが、今後、不登校対策で連携を考えるのであれば、都が独自に都内フリースクール等の実態を把握する必要があると思いますが、見解を伺います。
 ところで、本年一月、国はフリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援モデル事業経費として、六億四千万円の補正予算を組みました。都は、こうした予算を積極活用して課題解決に取り組むべきと思いますが、当該補正予算への都教委の対応を伺います。
 先般発表された都の不登校・中途退学対策検討委員会報告書では、教育委員会、学校のほか福祉、勤労等の関係する行政機関と民間団体が横の連携を強化することの重要性が示されました。
 そのためにも、早期に公民の関係機関による協議会を立ち上げ、社会全体で不登校問題に取り組んでいくべきと考えますが、今後の不登校対策への対応を伺います。
 次に、インバウンド政策について伺います。
 二〇一五年の訪日客は、千九百七十三万人と予想を上回るペースで過去最高を更新し、インバウンド三千万人時代が視野に入ってきました。都内を訪れる外国人が急増し、大きな経済効果が伝えられる一方で、都内のホテル稼働率は高水準で推移し、東京出張のビジネスマンの宿泊もままならない状況が報道をされております。
 二〇二〇年には、内外からさらに多くの人々が東京を訪れることを考えると、多様化する宿泊ニーズに適切に対応することは重要な課題です。
 こうした中、先般、大田区で国家戦略特区に基づく、いわゆる民泊条例が制定をされ、また、旅館業法の規制緩和の検討が伝えられています。
 都は、これらの動きをどのように捉え、インバウンド三千万人時代に向けて、東京を訪れる人々の多様化する宿泊ニーズにどう対応していくつもりか、所見を伺います。
 現在、円安局面のもとで多くの外国人が日本を訪れていますが、観光を一大産業とするには、為替に左右されることなく、選ばれる観光都市東京を築いていくことが大切です。そして、インバウンドの恩恵を都内の多くの地域と産業へと波及する取り組みが求められます。
 そこで、インバウンドの恩恵を都内各地域や他産業へと広く波及するための取り組みについて、現状と今後の展開を伺います。
 今、世界的にクルーズ需要が高まる中、魅力的な商業、観光スポットが多数立地し、国内有数の港を抱える東京がクルーズ需要に戦略的に取り組んでいくことが求められています。
 国内の先進都市では、ハード、ソフト両面でクルーズ誘致に努め、その成果を地域活性化へとつなげています。一方で、世界都市東京のクルーズ誘致実績は、国内ベストテン圏外に沈み、低迷状況にあります。
 二〇二〇年を見据え、東京港へのクルーズ誘致に戦略的に取り組み、東京の活性化につなげていくためには、超大型客船対応可能な新ふ頭の完成を待つばかりではなく、それまでの間、クルーズ寄港実績国内十位以内を回復といった具体的目標を持って、誘致活動を展開すべきと考えますが、現状の取り組み並びに東京の特性を生かした今後の展開を伺います。
 知事は、今定例会の施政方針において、観光産業振興アクションプログラムを策定すると表明しました。現行プランが五輪招致決定前に策定されたことを考えると、大会開催を前提とした新たな計画が待たれるところであります。
 アクションプログラムには、さまざまな課題への対応が盛り込まれると思いますが、特に、現行プランに欠けているクルーズ需要への対応を強化し、しっかりと位置づけていくべきと考えますが、所見を伺います。
 さて、内外の観光客にとって魅力の一つは、その国や都市の歴史や文化に触れることではないでしょうか。その意味で、歴史スポットを抱える上野地区は、我が国を代表する文化芸術の一大集積地であり、その魅力をさらに高め、世界に売り出していくことが重要なテーマとなります。
 昨年七月には、都や国等の関係機関が協議し、上野「文化の杜」新構想が発表され、ハード、ソフトにわたる野心的な魅力向上策が打ち出されました。この構想が実現されれば、上野の森エリアの魅力はさらに大きく向上することと思いますが、二〇二〇年までに構想のどの部分までが実現されているべきと考えているのか、伺います。
 また、構想が絵に描いた餅とならないようにするためには、その実施体制や進捗管理が重要になりますが、構想実現に向けた推進体制並びに今後の進捗管理について伺います。さらに、都は、構想全体を推進する観点から、いかなる役割を果たしていくつもりか、所見を伺います。
 現在、上野公園は、再生基本計画に基づき整備が進められ、各エリアの特徴を生かした統一したイメージづくりに成果を上げています。一方で、構想が掲げる当該地区への三千万人の来場を見込むのであれば、その玄関口となるJR上野駅公園口周辺は、駅舎の機能、デザイン、公園へのアクセス動線、さらには周辺道路や歩行者空間など課題が多々あると感じます。
 そこで、上野駅公園口から公園へのアクセス空間や駅前道路の歩行者空間について、上野の杜にふさわしい統一デザインのもと、二〇二〇年東京大会までに関係機関と連携して整備を終えておくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、水の都東京復活について伺います。
 永井荷風は、水は江戸時代より継続して今日においても東京の美観を保つ最も貴重な要素となっていると書き記しています。かつて東京は水の都であり、夏には川辺へ夕涼みに出かけ、人々は船遊びに興じ、水辺は船が行き交っていました。
 その後、多くの水路や運河が暗渠化され、高度成長期には東京湾の水質は悪化しました。近年では水質は改善されていますが、水辺環境は都市の貴重な財産であり、水を生かしていくことで、東京の魅力はさらに向上していくはずです。
 そこで何点か伺います。
 都心の中心に位置しつつ、自然にあふれ、江戸の歴史を感じることができる皇居周辺は、日本人のみならず、訪日外国人にとっても大変に魅力的なスポットです。特に、お堀の水はすぐれた景観を演出し、人々の心を和ませてくれますが、皇居のお堀の水の現状と、さらなる水質改善に向けた所見と課題をお聞きします。
 昨年、葛西では、期間限定で海水浴が解禁となり、お台場地区ではトライアスロンのスイミングが行われます。また、知事は舟運活性化を打ち出していますが、こうしたことも、水質がきれいであればこそという面が強くあります。
 そこで、東京湾の水質の現状と改善に向けた取り組みを伺います。
 海洋についていえば、近年、微小なプラスチック片が海水を漂うマイクロプラスチックが海洋問題として注目されています。昨年、環境局が京浜運河で実施した調査では、一立米中十六個のマイクロプラスチックが確認されたとのことですが、状況をより正確に把握するには、さらに範囲を広げての調査が必要と思いますが、所見を伺います。
 また、この問題については、都民へのさらなる啓発活動に努めるべきと考えますが、今後の具体的な取り組みを伺います。
 東京湾の水がきれいになり、水辺環境が改善されることで、東京の魅力は一層高まります。水の都東京復活に向けて、東京湾の水質改善を都政の重要課題と位置づけ、関係機関とも協力した取り組みを期待しますが、知事の所見を伺います。
 最後に、オリンピック・パラリンピック東京大会に関して伺います。
 二〇二〇年大会経費をめぐる森組織委員会会長の、当初計画の三倍、二兆円を超すのではないかとの発言や、舛添知事の三兆円くらいになるとの発言が物議を醸しています。
 立候補ファイルでは、大会予算として約七千三百億円が見積もられており、さらに運営費が不足した場合の記述として、万が一、大会組織委員会が資金不足に陥った場合は東京都が補することを保証することが明記されています。すなわち、大会運営の資金が不足した場合には、都が、最終的には都民が不足分を負担することとなっているのであり、二〇二〇年大会に係る総事業費と公費負担について、その全体像を把握し、広く納税者である都民に情報公開していくことが、今、求められていると思いますが、見解を伺います。
 昨年の新国立競技場計画やエンブレムの白紙撤回を経て、今や大会招致決定時の国民の期待や希望が大きくしぼんでしまい、残念でなりません。大会準備を着実に進めるのと同時に、大切なのは、国民、都民の期待と支持をもう一度取り戻すことではないでしょうか。
 本年夏には、オリンピック・パラリンピック・リオ大会が開催され、世界中の注目が集まります。リオ大会は、次期ホストシティーである東京もスポットライトを浴びることとなり、世界に向けて東京大会をアピールし、都民、国民の期待と機運を高める絶好の機会であると思います。
 そこで、リオ大会を通じての都の機運醸成の取り組みと、全世界が注目する中で、次期ホストシティーとして、リオ大会で知事はどのようなアピールを行うつもりか、ご決意を伺いまして、質問を終わります。
   〔知事舛添要一君登壇〕

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◯知事(舛添要一君) 両角みのる議員の一般質問にお答えをいたします。
 まず、東京湾の水質改善でありますけれども、東京湾には、お台場海浜公園や葛西臨海公園など、多くの人々でにぎわう空間が存在しておりまして、また、豊かな水辺の景観を生かした舟運の活性化が期待されております。東京の快適な水辺環境を創出する上で、東京湾の良好な水質確保は課題の一つだと考えております。
 都はこれまで、工場等に対する排水規制、それから下水道の普及などによりまして、東京湾の水質確保に取り組んでまいりました。
 一方、東京湾の水質は、東京以外の都市の活動の影響も受けるなどの課題がありまして、広域的な対応がその意味で不可欠であります。
 今後とも、国や九都県市を初め、近隣自治体とも連携を図りながら、東京湾の水質改善に向けて適切に取り組んでまいります。
 次に、リオ大会を通じた機運情勢でありますけれども、リオ大会は二〇二〇年大会の成功に向けて、東京大会をアピールし、都民、国民の盛り上げを図る絶好のチャンスであります。そこで、リオ市内にジャパンハウスをつくります。そして、そこで二〇二〇年大会のPRを行いますとともに、東京や日本の魅力を世界に向けて発信したいと思っています。
 私もリオに行きまして、オリンピック・パラリンピック両方の閉会式で、それぞれの大会旗をリオから引き継ぎまして、その場で東京の姿を世界にアピールしたいと思っています。
 さらに、その前にリオ大会の期間中は、ライブサイトを区部、多摩、被災三県で開催しまして、生中継によるリアルタイムの感動と興奮を大いに体感してもらいます。戻りましたら、このフラッグツアーを全国に向かってやりたいと思っています。
 こうした取り組みを通じまして、東京の魅力を強力に世界へ発信するとともに、二〇二〇年大会に向けた機運醸成を図りたいと思っております。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長中井敬三君登壇〕

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◯教育長(中井敬三君) 不登校対策に係る四点のご質問にお答えいたします。
 まず、小中学校における不登校に関する認識についてでございますが、不登校は、児童生徒の生活の乱れや学習のおくれを招き、社会から孤立しがちになるとともに、将来の進路選択が困難になり、望まない非正規雇用等にもつながる問題でございます。
 このため、不登校を未然に防止するとともに、児童生徒が不登校に至ったとしても、学校復帰や将来の自立に向けて、学校はもとより社会全体で支援できるよう、取り組みを充実していく必要があると認識しております。
 都教育委員会は、今年度、学校を初め福祉、労働等の有識者による不登校・中途退学対策検討委員会を設置し、支援のあり方について検討してまいりました。今後、この検討結果を踏まえ、取り組みを推進してまいります。
 次に、フリースクール等の実態把握についてでございますが、文部科学省は、昨年、都内のフリースクールなどを含め、全国の民間施設、団体を対象とした調査を実施いたしました。都教育委員会は来年度、フリースクール等との情報交換の場を設けることとしており、文部科学省の調査結果を生かしながら状況を把握してまいります。
 次に、国のモデル事業への対応についてでございますが、本モデル事業は、区市町村を主たる実施主体として、フリースクール等で学ぶ不登校児童生徒への支援や、不登校児童生徒の学校復帰を支援する適応指導教室の充実を目指すものであります。都教育委員会は、本事業について、区市町村教育委員会に周知してきており、区市町村の意向を踏まえ、適切に対応してまいります。
 最後に、今後の不登校対策の取り組みについてでございますが、不登校児童生徒への支援に当たっては、個々の状況に応じた適切な支援を受けられるようにすることが重要であります。
 このため、都教育委員会は来年度、区市町村において、学校や福祉等関係機関との支援ネットワークを構築し、スクールソーシャルワーカー等を活用した支援チームにより、家庭への訪問支援等を行うモデル事業を実施いたします。こうした取り組みを、区市町村教育委員会や学校と連携して推進してまいります。
   〔産業労働局長山本隆君登壇〕

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◯産業労働局長(山本隆君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、宿泊需要への対応についてでございますが、東京を訪れる旅行者がふえる中、外国人観光客の宿泊ニーズや地域の実情などに応じて、快適に宿泊のできる環境を整えていくことは重要でございます。
 このため、都は、宿泊施設について、バリアフリー化やWiFiの利用を可能とする取り組みなどを進めております。また、特区における旅館業法の特例につきましては、各自治体での適用に向けた検討に資するよう、大田区の事例紹介などに取り組んでまいります。
 次に、地域における観光振興についてでございますが、外国人観光客を東京の各地域に誘客することで、都内にさまざまな好影響を広げていくことは重要でございます。
 このため、都は、都内の各地域で新たな観光ルートなどをつくり出すアイデアを、民間のノウハウを活用して実現する取り組みを実施しております。
 今後は、こうした取り組みに対する支援を強化することなどにより、都内各地の観光振興を進め、地域経済の活性化にも結びつけてまいります。
 最後に、観光のアクションプログラムについてでございますが、外国人旅行者の急増など東京の観光を取り巻く状況の変化に対応し、適切な観光施策を講じていくため、都はアクションプログラムを策定することとしております。
 先日、有識者との第一回目の会議を開き、クルーズ船による旅行者誘致を含めた水辺の活用など、三つのテーマを中心に意見交換を行いました。
 引き続き、有識者とさまざまなテーマについて議論を重ね、来年度中にはアクションプログラムを取りまとめて、施策の展開につなげてまいります。
   〔港湾局長武市敬君登壇〕

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◯港湾局長(武市敬君) 東京港へのクルーズ客船誘致についてでございますが、これまで都は、クルーズ客船誘致のため、入港料の減免や東京港の魅力をPRするための東京クルーズセミナーを開催してまいりました。
 今後は、国内外へのアクセスが至便なことに加え、観光資源が充実しているなどの、東京港ならではの強みを生かした誘致施策を展開してまいります。
 具体的には、世界最大級のクルーズ客船にも対応可能な新たな客船ふ頭の整備を行うとともに、海外でのコンベンションへの出展や、観光施策とも連携した船会社への営業活動などを行ってまいります。
 こうした取り組みを積極的に進めることで、首都の玄関口である東京港をクルーズの一大拠点へと成長させていきたいと考えております。
   〔生活文化局長多羅尾光睦君登壇〕

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◯生活文化局長(多羅尾光睦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 上野「文化の杜」新構想の実現についてですが、東京文化ビジョンでは、日本を代表する文化施設が集積した上野を重要な文化拠点として位置づけています。新構想では、集積した施設相互の連携を強化することで、上野文化の森が国際的な文化観光資源となることを目指しております。
 これまで各施設の連携により共通入場券を発行するとともに、急増する外国人観光客に対応する案内表示の多言語化を進めてまいりました。また、今年度中に各施設の情報を集約し、その魅力を海外に発信するポータルサイトを構築するほか、桜の時期に合わせてアートフェスティバルを開催いたします。
 二〇二〇年に向けて、構想内容をできるだけ多く実現していきたいと考えております。
 次に、構想の実現に向けた都の役割等についてですが、昨年九月、東京国立博物館や東京都美術館、上野観光連盟、JR東日本といった十一の芸術文化施設や関係企業、団体により実行委員会が設立され、事業の推進と進捗管理を担っております。
 都は、構想に掲げられた取り組みがスピード感を持って進められるよう、実行委員会に対し、今後とも必要な助言や調整、財政支援などを行ってまいります。
   〔建設局長佐野克彦君登壇〕

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◯建設局長(佐野克彦君) 上野恩賜公園のJR上野駅公園口周辺エリアの整備についてでございますが、このエリアは、上野恩賜公園への主要なアクセスとして多くの来園者が利用する公園の顔となる場所であり、二〇二〇年東京大会の開催も視野に入れ、文化の森のメーンエントランスにふさわしい風格ある空間とすることが求められております。
 上野恩賜公園再生基本計画におきましても、来園者が集い円滑に移動できるよう、周辺の文化施設と調和した公園内の広場やプロムナードを整備することとしており、現在、その実現に向け、交通実態調査を行っております。
 今後も、関係する地元区やJR東日本と連携を図り、安全で魅力的な空間の実現に向けて取り組んでまいります。
   〔環境局長遠藤雅彦君登壇〕

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◯環境局長(遠藤雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、皇居お堀の水質改善についてでございますが、皇居外苑堀は閉鎖性水域であり、夏季を中心にその水質が問題となっております。このため、皇居外苑堀を所管する環境省は、水質改善計画を策定し、浄化施設を設置するなど各種の取り組みを実施しており、今年度中には新たな計画を策定し、さらに取り組みを強化すると聞いております。
 都は、これまでも国に対し、水質改善の取り組みを着実に進めるよう要望しており、情報交換を密にするとともに、引き続き国に対して積極的に働きかけをしてまいります。
 次に、東京湾の水質の現状と改善に向けた取り組みについてでございますが、閉鎖性水域である東京湾は、流域からの負荷が滞留しやすく、水質汚濁をあらわす代表的指標であるCOD、化学的酸素要求量を見ますと、中央防波堤を中心とした陸側の海域における環境基準値の一リットル当たり八ミリグラムについてはクリアするものの、それ以外の海域における環境基準値の一リットル当たり三ミリグラムについては、それを若干超える水準で推移をしております。
 今後とも、法令に基づき、事業所排水への規制、指導を実施し、都内水域における水質改善の取り組みを継続してまいります。
 最後に、海ごみの発生抑制についてでございますが、東京湾内におけるマイクロプラスチックの状況に関して、都は昨年度、京浜運河において調査を行いました。今年度は、環境省が湾内七カ所で調査を実施したと聞いており、その結果も含め、相互の情報交換に努めてまいります。
 また、マイクロプラスチックを含む海ごみの発生抑制のためには、陸域におけるごみの削減が重要でございます。
 このため、都は、昨年十一月にシンポジウムを開催し、プラスチックによる海洋への影響や、都や環境NGOの取り組みなどを、広く都民に対して紹介をいたしました。
 今後とも、マイクロプラスチックの問題や、陸域におけるごみの発生抑制等に関するパンフレット、ポスターの作成や、車内広告を活用した周知など、普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
   〔オリンピック・パラリンピック準備局長中嶋正宏君登壇〕

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◯オリンピック・パラリンピック準備局長(中嶋正宏君) 二〇二〇年東京大会の経費についてでございますが、一口に大会経費といいましても、その範囲のとり方によって大きく規模が変わってまいります。
 二〇二〇年大会は、テロの脅威の増大、資材や人件費の高騰など、大会を取り巻く環境が大きく変化し、数多くの課題に直面してきております。
 これらに対応するべく、開催都市である都は、組織委員会、国とともに、責任を持ってしっかりと役割を果たしてまいります。
 大会経費につきましては、不断に精査しますとともに、都民、国民に丁寧に説明し、理解を得ながら、必要な事業を実施してまいります。