前東京都議会議員 両角みのる
2013年10月22日02

アジア大都市ネットワーク21について物申す

◯両角委員 それでは、何点かご質問をさせていただきたいと思います。
 まず都市外交について伺いたいと思いますが、今、他の委員の方から姉妹都市について何点かご質問がありましたが、私からは、アジア大都市ネットワーク21について伺いたいと思います。
 東京都では、ニューヨーク、パリの事務所をかつて持っておりましたけれども、その両事務所の閉鎖以来、平成十三年にこのアジア大都市ネットワーク21が創設をされて、東京都の都市外交というものが、アジアネットを中心に進められているというように感じるわけでもありますけれども、発足からこのアジアネットも十年以上が経過しておりまして、これまでの成果をまず伺わせていただきたいと思います。

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◯小菅国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21では、平成十三年の設立以降、産業振興、危機管理、感染症対策、環境対策など幅広い分野で各都市が協力し、アジアの大都市に共通する課題の解決に取り組んできました。
 例えば危機管理の分野では、災害や感染症への対象事例の共有、産業振興の面では、経済交流を促進する取り組みの開始など、個々の共同事業において成果を上げてまいりました。
 このようなさまざまな取り組みを通じて、会員都市の首長から実務担当者まで多様なレベルでの議論や対話を重ね、都市間の協力関係を強固なものとするとともに、各都市の施策の向上とアジアの発展に貢献しております。

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◯両角委員 成果について今お聞かせをいただきまして、アジア大都市ネットワーク21の設立目的というものが、アジアの大都市が連携してアジア地域の重要性を高めるとともに、共通課題に取り組み、その成果をアジアの繁栄と発展につなげるということがうたわれているんですけれども、これを考えますと、会員都市の構成も含めて課題を認識して、今後の取り組みをしていくということが重要になろうかと思うんですが、見解を伺いたいと思います。

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◯小菅国際共同事業担当部長 ただいまご答弁申し上げましたとおり、アジア大都市ネットワーク21は、これまで単なる儀礼的な交流ではなく、感染症対策などの危機管理、廃棄物処理などの環境対策、企業の商談会を初めとする産業振興など、幅広い分野で実務レベルでの協力体制構築や解決策の研究に取り組み、成果を上げてきました。
 また、昨年のシンガポール総会におきまして、初めて会員都市の拡大が図られ、モンゴルのウランバートルとロシアのトムスクの新規加入が承認されました。これにより、アジア内陸部にまで会員都市の範囲が拡大されたことになります。両都市とも、昨年度の水道事業研修に参加するなど、既に具体的な活動を開始しております。
 今後も、この貴重なレガシーを承継しつつ、アジア大都市ネットワーク21の発展に努めてまいります。

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◯両角委員 北京が抜けたとき、さまざま議論があったというふうには聞いておりますが、ここでウランバートルやトムスクという新しい都市が仲間入りをし、具体的な成果も上げているということで理解させていただきますが、アジア以外の地域も含めて、姉妹都市など二国間の交流というのも一方では重要ではないかなと、こんなふうにも感じるところなんですが、東京都の今後の都市外交についての所見を伺わせていただきたいと思います。

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◯櫻井外務部長 アジアを、そして世界を代表する大都市である東京が、国際社会の中でその存在感を示していく上でも都市間の交流は重要です。
 今後も、アジア大都市ネットワーク21を通じて、アジアの発展に貢献していくことはもとより、姉妹友好都市等との間で具体的な課題への取り組み等を通じ、二都市間の連携協力がより一層図られるよう取り組んでまいります。
 これまで築いてきた信頼関係を礎に、各局と連携をしながらさまざまな機会を捉えて相互理解を深めるとともに、知恵や経験の共有による交流を進めてまいります。
 このような取り組みを通じて、実りのある都市外交を展開してまいります。

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◯両角委員 まさに、実りのある外交を展開していただければと思います。
 次に、広域連携と地方分権ということで質問をさせていただきたいと思いますが、今まさに生活圏域や経済圏域が広がっていて、いろんな課題を一つの都や県が全部解決するということには限界が出てきているんではないかな、このように認識しているわけであります。
 そして、今この東京を含めた広域連携の取り組みについては、九都県市という枠組みがあるわけでございますが、この九都県市、首都圏の一都三県、さらに五政令指定都市が構成員となっている、もうこれはかなり歴史のある団体というか仕組みでありますけれども、この九都県市首脳会議のこれまでの具体的成果というのを、まず伺わせていただきたいと思います。

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◯猪熊理事 九都県市首脳会議においては、首都圏が抱える広域的な課題に対応するため、首都圏の首長が一丸となり、さまざまな取り組みを行っております。
 例えばディーゼル車規制では、条例で国よりも厳しい粒子状物質の排出基準を設定し、排出基準を満たさないディーゼル車の走行禁止を行うことにより、広域的な環境問題に大きな成果を上げてまいりました。
 また、東日本大震災の教訓を踏まえ、九都県市合同防災訓練では、発災時を想定した車両等の通行禁止訓練や帰宅困難者対策として、鉄道機関や警察機関と連携した大規模ターミナル駅での混乱防止や避難誘導訓練を実施しております。
 また、産業振興では、各都県市のすぐれた企業の産業技術を一堂に集め、九都県市のきらりと光る産業技術として表彰し、首都圏全体で製品のPRなどを行っております。
 このように、九都県市首脳会議は、環境対策や防災対策、あるいは産業振興などさまざまな分野で大きな成果を上げております。

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◯両角委員 いろんな分野で成果を上げているということでございますが、特に環境や防災という例を挙げていただきました。
 私、個人的に印象に残っているのは、石原前知事のディーゼル車の排ガス規制について、東京都だけでは実効性のある対応がとれませんから、このテーブルを十分に活用されたんだなと、そんなふうに評価しているところなんですが、今成果についてお話をいただいたんですが、次に、その成果を踏まえて、ではこの九都県市の首脳会議という、その場をどのように評価されているかということについて、お伺いしたいと思います。

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◯猪熊理事 九都県市首脳会議は、年二回の首脳会議を開催して、首長のリーダーシップのもと現場感覚を踏まえつつ、また、大局的な見地から首都圏共通の課題を提起し、議論しております。
 そして、国に対しては、首都圏の総意として力強くメッセージを発信するとともに、共通の課題に関しては、九都県市が実務的に連携することで、効果的に課題解決を図ってまいりました。
 このように、九都県市の取り組みは、広域的な課題にタイムリーに対応する上で有効なものであると評価しております。

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◯両角委員 今のご答弁で課題を提起する機能と同時に、実務的にも連携によって課題を解決ができてきているということで、有効であるという評価をされているわけでございます。
 九都県市は、ご案内のとおり、これは昭和五十四年に六都県市という形でスタートいたしました。ですから、今はもう三十五年目を迎えているわけでございまして、この事業概要にもあるとおり、年に二回、各首長さんが集まって、その時々のテーマを持ち寄って会議をするということなんですが、いわゆる首都圏サミットといわれるようなゆえんでもあるわけであります。
 ですから、今ちょっとご答弁で、各自治体共通の課題について問題提起をして、国にも発信力があるというお話で、まさにアジェンダ設定の機能は有効に有しているんだ、そのように私は思っているんですが、一方で、広域課題の解決を図るという面では、若干、九都県市の市長さんや知事さんが一堂に集まって、カメラが入ってというセレモニカルなイメージがあって、若干そういう面は弱いんではないかなというのが私の印象なんですが、そこで設立以来、三十五年近くを経過したこの九都県市の首脳会議が、この課題解決能力を向上させていくという視点で、個人的には課題が出てきたら、今度はそれを解決するための共通のタスクフォースみたいなものを設置するようなこともちょっと念頭にあるんですが、この課題解決能力を向上させるためにどうしたらいいかということについて、都の見解を伺いたいと思います。

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◯猪熊理事 九都県市首脳会議では、首長により提起された課題に対しまして、常設の委員会、あるいは時限的な検討組織を設け、このもとで知見を有する九都県市の職員が集まり、課題解決に向けた取り組みを行っております。
 例えば帰宅困難者対策についていいますと、発災時に帰宅者に対して、水道水、トイレ、道路情報などを提供することに協力していただける事業者を、九都県市職員が開拓して協定を締結しています。平成二十五年十月八日現在、一万八千五百二十七店舗のコンビニエンスストアや飲食店が参画するなど、大きな広がりを見せております。
 今後とも、首脳会議で提起された課題に対して効果的な取り組みが実施できるよう、引き続き九都県市が連携し、迅速で実効性のある取り組みを広域的に進めてまいります。

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◯両角委員 そうなんですね。ちょっと考え方に差があって、東京都が広域課題に対応するために連携をしていくと。私は、どちらかというと連携だけではなくて、もう少し組織立ったもの、共同でという、そういう方向を想定するところはあるんですが、そこで、ちょっとご紹介したいのが関西広域連合というものでございます。
 ご案内のとおり、関西広域連合は、二府五県により平成二十二年に設立をされています。これは地方自治法の実際に広域連合ですから、広域連合議会ができて、何かイメージ的には自分はEUのようなイメージがあって、プラスの面、マイナスの面もあるんでしょうが、しかし、関西広域連合、域内人口が二千万人おりまして、今この目的として、地方分権の突破口を開き、関西全体の広域連携を担う責任主体を確立すると、意欲的な設立目的を述べているわけでございまして、そして、国の出先機関の廃止による権限移譲の受け皿づくりを担って、国からの事務権限の移譲を最優先の課題と捉えているということをいっているわけでございます。
 もちろん、こういった組織をある程度、組織立った形をつくるのは、メリットもデメリットもあると思います。しかしながら、明治の時代に府県という仕組みができて、ほとんど変わっていないわけですね、エリアが。東京は特殊なエリアかもしれませんけれども、それがそのまま情報通信が発達をして、新幹線ができて、携帯電話があってという時代に、同じように、この四十七都道府県という仕組みの中で課題解決ができ切らないと、間尺に合わなくなっているというのが、これは確かなことではないかなと、私はこんなふうに感じるわけでございます。
 しかし、広域、この課題への取り組みについては、手法としては連携をしていくという考え方と、一方では、例えば道州制を含めたあり方を模索するというふうに分かれてくるのかもしれませんが、その一方で、国との関係を考えれば、私は東京都というのは、財源も日本で一番あるわけですね。企業も集中して、職員の皆さんも皆さん方みたいに優秀な方がもういっぱいいると。人もいる、お金もある、物もある、そして首都であるという、そういう自治体でありますから、では国との関係をどう築いていくのですかということが、今また問われているんではないかなと、そのように感じます。
 すなわち、国から権限移譲をするといっても、一律に移譲を求めるということではなくて、東京都という、こういう自治体なんだから、意思も能力も十分にある自治体として、国から権限や財源を移譲させて、さらに地方分権を進めていくことが、広域的な取り組みとはまた別の次元で、まずは大切なことではないかなと、こんなふうに感じるわけですけれども、この国との関係で、権限の移譲を積極的に進めるということに関して、都の見解を伺いたいと思います。

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◯奥田自治制度改革推進担当部長 これまで国は、地方分権改革推進委員会からの勧告を受け、三次にわたって一括法を制定し、地方の事務を国が法令で縛っている、いわゆる義務づけ、枠づけの見直しなどを順次進めてまいりました。
 また、本年九月に開催されました内閣総理大臣を本部長といたします地方分権改革推進本部において、国から地方への事務権限の移譲等に向けた当面の方針を決定したところでございます。
 このように、国の地方分権改革に向けた取り組みは、一定の進展が見られるものの、今回決定された当面の方針において、移譲する方向で検討を調整するとされた事務権限につきましては、国の出先機関の一部の業務にとどまっているなど、地方分権改革は、いまだ道半ばであるといわざるを得ません。
 都といたしましては、首都東京の課題はもとより、より迅速、効果的に解決するために、引き続き国へ提案要求を行うとともに、認証保育所制度のような現場からの発想を生かした具体的な政策を展開、実証することにより、国に対し、さらなる地方分権改革の推進を求めてまいります。

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◯両角委員 地方分権も道半ばだということの中で、ご答弁の中でちょっと感じたのは、現場からの発想を生かした具体的な政策、それを展開、実証することで、国に対してさらなる地方分権を求めるということで、まさにそういうことが重要ではないかなと思っているんです。
 一般的に、国と地方と二分割で見ますけれども、東京という自治体はまた違うんじゃないかなと。特別なところもあるんではないか。そして、東京という自治体が抱えている問題を解決するために、国にかわってやれる部分は積極的にやるというようなスタンスで、積極的にこの分権の問題にかかわっていただきたいなと、このように感じたわけでございます。
 それともう一点、広域連携につきましては、やはり広域的な課題、まさにその環境についても防災についても、さらにはSARS等のそういった感染症についても、あるいはわかりやすい例でいえば、関西広域連合でいえば、ドクターヘリを共同で運行するとか、コストがかかって、しかも東京都なんて、こんなエリア的にはそんなに広くないですから、千葉、神奈川とか、そういったまさに広域的な連携をすることによって、課題を解決することが今、山ほど出てきているんではないか、このように感じるわけでございます。そして、この九都県市という枠組みはあるんですが、さらにこの広域課題を解決するということに当たって、最大限に効果が上がるように、例えばテーマによっては共同事務処理を行うとか、都がそのようなことを率先して音頭をとっていただけないかなということを一つの提案として、皆さんにお示しをしたいと思います。
 次に、新たな長期ビジョンの策定についてということで伺います。
 この仮称、新たな長期ビジョンの策定につきましては、十二月を目途に策定するということで、もちろんこの三定の中で各会派の皆さんの代表質問や、あるいは一般質問でも、多くの皆様が触れられていた。だから、もうこの事務事業で触れるテーマではないんじゃないんですかという声も、ないわけではありません。
 しかし、この今、現行の「二〇二〇年の東京」、これは平成二十三年十二月に策定をされているわけでございます。サブのタイトルに、大震災を乗り越え、日本の再生を牽引すると、八つの目標と十二プロジェクトを立てているわけでございまして、まさに震災後、東京が日本の中でどんな力を発揮していくんだというようなことを、この長期ビジョンとして示している時宜を得たものだったんだなと思っているわけですが、しかし、二年を経て、またここで新しいビジョンを策定するということでございます。
 そこで、私からは、この定例会等でもさんざん議論をされているからということもあるかもしれませんが、一点だけちょっと確認したいと思うんです。
 私自身は、やはりこの公選で四百万票以上の票をとって、猪瀬知事が誕生したと。やっぱり副知事と知事は、全然ポジションが違うと思います。公職の選挙によって、一千万人以上の都民の有権者の皆さんから直接選ばれた。だから、その何をやりたいかという哲学をみずからそのビジョンに書き込むということで、理解をしています。それでいいんじゃないかなと思っています。
 そうした中で、今回お聞きをしたいのは、この新しいビジョン、長期ビジョンは、前回のビジョンは二〇二〇年、平成三十二年までの十カ年計画ということで、策定されておりました。
 今回のビジョンは、やはり十年先を見据えた十年計画ということで策定されるということで、今策定作業をしているということなんですけれども、この期間というのが、何となく自治体の計画といえば、長期計画は十年というような、それが普通かなというふうに思いがちでありますけれども、実は、この策定の期間というのは、この計画のコンセプトと裏表ではないかなと私は感じるわけでございます。
 例えば社会のスピードが非常に速い、ドッグイヤーといわれている中で、例えば二十年のスパンの計画をつくっても、後半十年、まさに意味がないかもしれません。
 ですから、場合によっては、例えば五年計画というのがあってもいいのかもしれませんし、あるいは公選の知事の任期に合わせて、八年とか十二年という考えがあっていいのかもしれません。要は、期間のあり方というのは、この計画のコンセプトをしっかりと示すという、その裏返しになっているんではないかなというふうに思うわけでございます。
 そこで、今回お伺いをしたいのは、この新たな長期ビジョン、十年というふうにあえてした理由、そして、まさに知事の哲学を込めていくんだろうと思うので、そのこととあわせて、この十年スパンの理由についてお伺いしていきたいと思います。

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◯小池計画調整部長 新たな長期ビジョンは、オリンピック・パラリンピック大会開催のさらなる先を見据えた東京の姿を、従来の施策体系や行政分野にとらわれずにわかりやすく示すとともに、その将来像を実現するために取り組むべき中長期的な課題や政策展開の道筋を明らかにするものでございます。
 少子高齢化の一層の進行や人口減少社会の到来を踏まえつつ、東京が抱えるさまざまな重要課題に対応するためには、中長期的な視点に立って、解決への道筋を示す必要があります。
 一方で、将来像の実現に向けて、現実的、具体的な政策展開を示していくことも必要となります。中長期的な視点と現実的な政策展開、それぞれの必要性を踏まえ、長期ビジョンの計画期間を十年と設定しております。
 なお、平成十八年に策定した「十年後の東京」、平成二十三年に策定した「二〇二〇年の東京」も、同様の考え方に基づき計画期間を十年としております。
 社会情勢の変化等に対応し、必要に応じ適宜改定を行っておるものでございます。

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◯両角委員 これから中間の取りまとめがあるんでしょうか。そして、十二月には策定をされていくということでありますが、今回の事務事業に関して、都市の都市外交と広域連携のあり方と分権ということをあわせて伺ってまいりましたけれども、まさに十二月にこの新しいビジョンをつくっていくということでありますので、こういった重要なテーマについて、しっかりと書き込んでいただいて、新しい都政のしっかりとした展開を、心からご祈念を申し上げまして、私の質問にかえさせていただきます。
 終わります。